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公認内部監査人(CIA)資格試験の受験記録と合格に向けた学習内容のまとめ(監査未経験/学習期間計2か月/独学)

公認内部監査人資格、通称CIA(Certified Internal Auditer)です。監査未経験でしたが、予備校で無駄な費用をかけたくなかったので、独学で学習し、2か月程度で合格しました。
参考書代は市販の公認内部監査人資格認定試験対応 内部監査基本テキストのみの7500円です。

アビタスに通った方の合格レポートはときどき見るのですが、完全に独学でのCIA合格レポートは殆ど見当たらなかったので、後学者のために、独学時の感触を記録に残しておきます。

尚、取得の経緯ですが、コンプラ系内部管理部門の経験から、受験資格を満たしていたので、後学のために受験してみたものです(要するに、それぐらいのテンション・実務経験でも合格できます)

CIAは独学で取得可能なのか?

独学で十分に対応できる試験内容です

実際に独学で受験した印象、アビタスに20万円払う必要のあるような内容ではないと思います。
CIAの取得が必要なレベルのビジネスマンや、資格が活用できる業務をされている方であれば、独学で十分対応できます。

公認内部監査人(CIA)資格は「アビタスの講座に通わないと取得できない」「独学では合格できない」と言われます。
理由は大体「学習参考資料が少ない」「公認内部監査人試験の全容がわからない」あたりです。

ただ、受験した感触では、通学が必要なほど細かく深い知識が必要な資格ではありません。
内部監査特有の考え方と、一般的な内部管理について常識的な判断が出来れば、問題なく合格できる資格です。あえて予備校に通う必要はないです。

(まあ、実際、情報源が少ないので、アビタスに通った方が早いかもですが…)

参考書も通常の書店で販売されている書籍1冊で合格できます。

学習参考資料も、不足しているとはいえ、後述の通り、決定版ともいえる「公認内部監査人資格認定試験対応 内部監査基本テキスト〈第4版〉」が存在するため、実態としては困らないです。
(本書も7500円程度とお値段が張るのですが、1万円しないので、それでもまあ安い方です)

国際資格であり、受験までの手順は煩雑、という点も、USCPAほど複雑怪奇だったり、単位が必要なわけではありません。
ネットで調べれば申請関係は十分対応できると思います。

この点でも、予備校のサポートは必要なさそうです。

おすすめの参考書・問題集(学習ツール)について

「公認内部監査人資格認定試験対応 内部監査基本テキスト」1冊でOK

結論としては、「公認内部監査人資格認定試験対応 内部監査基本テキスト」1冊で、合格できます。

尚、本参考書は、テキストのほかに各Partの問題集もついているため、問題集を買う必要はありません。

考え方を身に着ける意味でも、問題に慣れる意味でも、非常に優れた参考書であり、試験対策に偏りすぎず、公認内部監査人試験特有の考え方もしっかりと習得できます。ベストな一冊だと思います。

基本テキストを使用した学習の方法

学習の方法は、著者のコメント通り「3周しっかり読んで、3周問題を回す」ことで問題ありません。

僕も最初は本テキストの演習問題も全く解けなかったのですが、3週目には普通に解けるようになりましたし、CIA試験の本番の試験問題も問題なき解くことができました。

※本テキスト付属の問題集の解説がわかりづらいという声もききますが、理解度が高まると、わかるようになります。
解説がわからないうちは、合格水準に達するレベルの理解が出来ていないということかと思いますので、何回も読んで解きなおしましょう。

アビタスなどの予備校教材について

アビタスやTACのテキストやMCカードをメルカリ等で中古で購入する方もいらっしゃるようですが、本テキストで特に不足は感じませんでした。

高額な予備校テキストを購入して寄り道するよりは、本テキストでしっかり学習した方が良いです。

公式問題集「GLEIM CIA Review」について

尚、公式の高額な問題集「GLEIM CIA Review」は利用しませんでしたが、結果として特に必要はありませんでした。
知り合いの合格者の話をきくと、GLEIM CIA Reviewは定番の印象ですが、あまり学習教材を増やすと手が回らなくなるので、基本的には買わなくても問題ないようです。
心配なパートは併用してもいいかもしれませんけどね。

GLEIM CIA Review Seventeenth Edition Part 1 日本語版

GLEIM CIA Review Seventeenth Edition Part 2 日本語版

GLEIM CIA Review Seventeenth Edition Part 3 日本語版

本書に記載されていない問題も出ますが、合否には直結しません。

テキストよりもCIA試験の方が範囲が広く改訂が頻繁なため、「公認内部監査人資格認定試験対応 内部監査基本テキスト〈第4版〉」が完璧にすべてカバーできているかというとそうではないです。

ただ、本書1冊の範囲を取りこぼさなければ合格できるのは間違いないので、特に問題はありません。
目的は満点とることではなく、合格するのが目的です。合格水準に達すれば良いのです。

公認内部監査人資格試験(CIA)の学習時間・学習期間について

独学でも学習時間は2か月×1.5時間=90時間程度で合格できます

自分の実績で言うと、行き帰りの電車30分+自宅学習1時間のペースで2か月未満の学習期間でした。
Part1~3をすべて合格するのに学習した時間は多く見積もっても90時間ぐらいでしょうか。

ネットで検索すると、標準的には300~500時間と出てきますが、そこまで時間はかからないと思います。
暗記が求められるわけでもないですし、粗々の概念や考え方さえ掴めばよく、厚い参考書1冊でカバーできる範囲なので…。

正直、集中すれば学習時間60時間ぐらいでも問題なさそうな気はします。勉強得意な方なら、学習開始から最短1カ月で合格できるかもしれないですね。
(ただ、参考書の選び方間違えたりすると、膨大に時間がかかりそうではあります。その意味で、アビタスの教材が正解なのかはかなり疑問です。多すぎるだろ…)

Part1の難易度やポイントについて

難易度はさほど高くないが、独特のテイストに慣れられるかがポイント

Part1はまさに考え方の理解を問われるもので、体感では一番簡単な印象でした。

CIA特有の書き振りに頭を合わせる必要があるので、しっかりと上記テキストの問題集をこなしてから行かないと厳しいですが、問題文に慣れていれば、スタンダードにわかりやすい問題が多いです。

内部監査基本テキスト〈第4版〉がしっかり理解できていれば、特に問題なく合格できるはずです。

尚、Part1とPart2は連関性が強いので、同時に学習し、ほぼ同時に受けたほうが良いです。

Part1の学習期間は1カ月程度

1カ月ぐらいの時間をかけて学習し、最初に受けて普通に合格しました。
受験していて、合格したなと確信が持てた試験でもあります。

(1カ月程度というのは、Part2も合わせて学習していたからで、実際にPart1の部分に限定すると、3,4週間ぐらいですね

Part2の難易度やポイントについて

実務的な問題が多いPart2

Part1が理論だとすると、Part2は、どちらかと言えば、実務上の対応を問われる問題が多いです。

Part1よりは明確に難しいのですが、Part1の理解を前提にビジネスジャッジが適切に出来れば、極論、学習しなくても答えがわかる問題が多いです。
その意味で、社会人経験が一定以上あり、適切な感性があれば、Part1より楽に合格できます。

尚、私の受験時の印象ですが、「実務上、だれが権限や責任を持って各内部監査業務にあたるべきか」という趣旨の設問が多く出た印象があります。
学習時はそういった観点を意識して学習すると良いかもしれませんね。

学習期間は2週間程度

2番目に受けて合格はしたものの、権限・責任のあたりはもう少し学習しておけば良かったかな、と試験中に思ったりしました。

学習期間はPart1と並行して学習した期間を含めても正味2週間ぐらいですね。
感覚的に実務上どうあるべきかはわかる分、Part1で学習した理論がしっかり理解できていれば、あまり落ちそうな感じはしませんでした。

Part3の難易度やポイントについて

一番簡単だが、ハマると落ち続けると噂のPart3

ビジネス理論などの問題が多く、ある意味では一番簡単で、ある意味一番難しいとされるパートです
僕の周囲の方でも、複数人はPart3で落ちて一向に合格できず、困っていました。

とはいえ、英語の原文を読まないとニュアンスがつかみづらい問題が多いことを除けば、実態としては、そこまで苦労はしないような気はします。

Part1・2と違い、あまり深く知らなくても「これかな?」と回答がわかるケースもあるので、落ち着いて考えるのが重要です。

問題の求める考え方は相変わらず独特で、Part1,2と時期を開けると厳しいため、出来ればPart1,2の2週間後には受けたいです。
この辺、スケジュールはちゃんと組んで学習したいところですね。

学習期間は1週間半程度

3番目に受けてするっと合格しました。

全く認識のなかったISO31000の問題が想定外に10問程度(1割)出たので、全部間違ってたら死ぬなーと思いましたが、言わんとすることは読み取れたので、なんとか合格できました。

学習期間は1週間半ぐらいでしたが、概ね知っていることばかりだったので、そこまで根を詰めて学習しませんでした。
基本的に、原理原則に基づいて正しいであろう選択肢を選べれば直接的な知識がなくても解けるのは、CIA試験の良いところですね。

part3が合格できない要因

尚、真面目に勉強した人が不合格になることも多いPart3ですが、part3で落ちた方複数人にお話を伺うと、Part3が合格できない要因としては以下があるようです。

  • Part1・2から間を空けすぎて独特の問題文への慣れが消失した
  • 簡単だとの噂があるのでPart1・2を飛ばしてPart3から受験した
  • ビジネス理論が腑に落ちていない

3つ目は学習不足によるものですが、1つ目があるあるで、特にPart3単体について知識不足感がないのに落ちる場合は、Part1やPart2に戻って、問題を1周回してみた方が良さそうです。

全体を振り返ってのポイント

暗記することではなく、理解することが重要

暗記は求められておらず、内部監査における考え方の理解が求められている試験です。
暗記でやろうとすると限界があるため、テキストがきちんと腹落ちするまで読み込み、問題を解いて誤読をなくすのが重要です。

多少難しくても、根本的な理屈が書いてあるテキストをじっくり読んで、実際に問題を解いてみて、どうしてこの答えなのかの理屈を理解するところが一番の肝だと思います。

(色々資格試験を受けていて思いますが、記述問題や公式を使う計算問題がない選択式の試験の場合、基本的に暗記カード系の学習は必要ないです。暗記カード使うなら、問題集回した方が絶対に良いです)

試験当日は日本語直訳の問題文がネック。困ったら原文を表示

尚、試験本番では問題集以上によくわからない日本語に向き合う羽目になります。
「日本語なのに何を言っているのかわからない!」と感じたら、英語に変更(試験中は自由に変更できる)して、原文を確認してみるのをお勧めします。

TOEIC500点以下の僕でも「そういうことか…」と英語で読むと意図がつかめて解ける問題が多かったので、おそらく普遍的に有効なテクニックだと思いますね。 

どのパートから受験するかの受験順について

絶対にPart1→Part2→Part3の順番がおすすめです。

これまで記載してきた通り、各パートの合格には内部監査の考え方を理解している必要があります。
Part1で概念を、Part2で実務を、Part3で応用を、という流れになっている以上、それを崩すのは得策ではないです。

知り合いの合格者も、ほぼ1→2→3で合格していますし、変則的に受験された方は1つ目で落ちています。
(だいたいPart3から受けて落ちているのですが…)

(余談)国際的な資格だからか替え玉受験対策がすごい

あと、試験で印象的だったのは、本人確認で静脈認証を取られるところで、ここまでするか…!?と驚いた覚えがあります。
まあ、替え玉受験でも成功すれば勝ちですもんねー。

国際資格なので、どこまで試験会場に信頼性があるかわからないし、それぐらいして当然なのかもしれないですね。

公認内部監査人資格の効果について

意味がないと言われるが、手に職寄りの資格ではある

意味ないと言われがちのCIA資格ですが、内部監査業務に関与する場合、最も代表的な監査関連資格なので、非常に有効に作用します。

正直、同じ監査関連資格である公認会計士(CPA)や米国公認会計士(USCPA)と並列で並べるにはあまりにも難易度が違う資格ですが、狭い範囲の「内部監査」について十分な知識を保有しているという点ではCPAやUSCPAは少し過剰感もあり、「CIA以上」でひとくくりにされているため、内部監査領域でのバリューは相応にあります。

(CPAやUSCPAも監査の資格ではありますが、内部監査の領域でCPAやUSCPAに含まれる会計監査の知識はあまり要求されないんですよね。なので、CIAで十分、ということです。逆CIA以外に適切な資格の目線が存在しない、という点が優位に働いています)

ガバナンスの要求レベルの向上とともに内部監査への関心は年々高まっていますし、内部監査の経験とCIA資格があれば、どこかの職にありつける可能性は高く、正直、難易度対比でかなり費用対効果の良い資格です。維持費はかかりますけどね。

(多分、内部監査を外部委託するコストがめちゃくちゃ高い、というのも背景にある気はします。基本的にはコストなので、監査法人に委託するほどのコストはかけたくない業務なんですよね、内部監査。)

内部監査やらない場合でも、コンプラやガバナンス領域では評価されやすい

尚、公認内部監査人資格は、内部監査をやらない場合、実務上はあまり意味のない資格ではありますが、監査業務に携わっていない場合でも取得をしておくとガバナンスの知識がある人材であるという見方をされて、大企業では社内的にも潰しがききます。

監査論は世界共通言語であり、どんな業務も監査的な視点は必ず何か示唆を与えてくれるので、内部監査業務に携わるつもりがなかったり、転職する気がなくても、ガバナンスや内部統制に関心があるなら、取っておいて損はないですね。

※後日追記(2024年1月更新)

CIAの受験者、相当数が限られるはずなのに、公開後5年で、50000アクセス以上されているので、かなりの数の受験者がこの記事を見られたということなのでしょうか。役に立っていれば幸いです。

私が受けたのは2018年ごろの話なので、少し傾向が変わっている可能性はありますが、CIA自体は特に法令を参照するような試験ではないので、同様に対応できると思います。

(2023年に受験された方とお話ししていても、認識に相違はなさそうで、学習方法や難易度認識も私の認識と合致していました)

資格の維持のための継続学習制度(CPE)を受けていますが、個別トピックはあるにせよ、考え方に激変があるわけではない、という認識です。